少し長いですが『小学生のボクは、鬼のようなお母さんにナスビを売らされました。』、インパクトあるコテコテの似顔絵、リアルなナスビが対照的です。夏休みの読書感想文、選定図書を思い出しました。
この絵本、筆者の原田社長の言う通り『自叙伝』でありますが、ハイライトは『お母さんの生き様』でしょう。「鬼のような」と表現していますが、お母さんのわが子を想う切実さが伝わってきて、ずいぶんと親孝行な絵本です。育児雑誌会社の絵本らしく、『親の育児の責任』について、お母さんを介して見事に喝破しています。
本によっては、行間を汲まないと作者の想いが理解できなかったり、変化球を交えたりしますが、この絵本は直球です。作者自身の熱い想いをダイレクトに感じることができます。その分かりやすさが、一見取っつき難い絵本でも、子供がスラスラ読める一因です。
それに、ナスビがよかった!イチゴを売ろうものなら、思わぬ人気少年になってしまうし、ゴボウを売ろうものなら、地味すぎて絵本を開けようとも思いません。ナスビの紫色が丁度よく、派手すぎず、地味すぎず。シブい内容と見事リンクしている紫色なのです。
さらに言えば、ナスビの野菜としての微妙な立ち位置が、この絵本の内容に良い相乗効果を与えているといえます。食べてみて、美味くもなくなく、マズくもなく、どう料理しても大した味がしない微妙なナスビ。そんなナスビを毎日大量に売りに出かける原田少年。シュールです。
袋に入った大量のナスビを持って、玄関に突っ立っている小学生。その異様なたたずまいから、住人も思わず「出ていけ!」と言ってしまいそうです。毎日、毎日、ナスビばかりを売りつけに来る、あの子どもはいったい何者なのか。田舎の団地内で『昭和版 マッチ売りの少女〜ナスビ売りの少年〜』として有名になっていたのかもしれません。
断っておきますが、ナスビの話ではなくて、『生きる術』について考えさせられる絵本なのです。育児の創意工夫に目覚める親も出てきそうです。子どもにとっても、大人の理不尽な世界を垣間見られるこの絵本は、きっと心の奥底にじわじわと残るのではないでしょうか。ナスビの紫色と共に・・・
1400円しますが、買って損なし、一家に一冊置いておきたい力作となっています。
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